広大な倉庫で、人の手とフォークリフトが中心だった搬送作業。有資格者の確保や作業効率の課題を抱えていた株式会社LIXIL物流 関東物流センターは、自律走行搬送ロボットAMR「Neibo」の導入により、新しい物流体制への大きな一歩を踏み出しました。導入の背景から決め手、そして現場にもたらされた変化について、センター長大柴様にお話を伺いました。
1. 事業内容と運用の特徴
「最大6mの長尺物も運ぶ、住生活を支える物流拠点」
株式会社LIXIL物流は、国内外の住生活関連事業における物流・配送サービスを提供しています。関東物流センターでは、住宅サッシ、玄関ドア、シャッター、インテリア建材といった多様な製品を、関東甲信越および福島エリア(1都10県)のお客様へお届けしています。 中には最大で6mにもなる長尺物もあり、複数個を一度に運ぶため、荷物がかなりの重量になる点が運用の特徴です。
2. 導入前の課題
「広大な倉庫で直面する、属人化と労働力不足の課題」
倉庫内では、人がフォークリフトを運転して商品を搬送する、人中心のオペレーションが行われています。この作業には高い運転技術が求められるため、有資格者の確保が常に課題となっており、将来的な労働力不足も大きな懸念点でした。また、荷物を降ろした後のフォークリフトが空の状態で戻る「空走」の無駄をなくし、作業全体の効率化を図る必要がありました。
3. AMRに求めた条件
「最優先は『安全』。重量物を運び、段差を越えるタフさを追求」
無人搬送を実現する上で、最も重視したのは「安全の確保」です。人や他のフォークリフトといった前方の障害物を正確に検知し、確実に停止・回避できる精度を第一に求めました。 次に、当社が取り扱う重量物の搬送に耐えられるパワフルな運搬性能です。また、倉庫内には若干の段差があるため、大掛かりな床工事をすることなく、その段差を乗り越えられる走破性も必須条件でした。
4. 「Neibo」を知った経緯
「『本当に運べるのか?』半信半疑で見たデモが、確信に変わった瞬間」
社内の改善チームから「良い製品がある」と紹介されたのがきっかけです。 初めて見たときは、特徴的な「大きな目」が印象的で、「本当にこれで重量物が運べるのか?」と半信半疑でした。しかし、実際に重量物を牽引してスムーズに走行するデモンストレーションを見て、その性能をすぐに確信できました。
5. 「Neibo」を選んだ決め手
「数社比較の末の『Neibo一択』。決め手は現場ニーズへの柔軟な対応力」
数社の製品を比較検討しましたが、最終的な決め手は、当社の細かいニーズにまで応え、様々なパターンに柔軟に対応できる仕組みと仕様でした。安全性や運搬性能はもちろんですが、こちらの要望がどこまで実現可能か、という点を重視しました。 また、標準アプリが非常に使いやすく、特にプログラミング知識がなくても直感的に操作できるところを評価しています。「Neibo」以外の選択肢はありませんでした。
6. 導入による変化
「フォークリフト2台削減。それ以上に大きかったのは、従業員の『意識の変化』」
目に見える効果として、フォークリフトを2台削減でき、作業の効率化が確実に進みました。削減によって生まれた人員は、他の重要な業務で活躍してもらっています。 しかし、それ以上に大きな変化は、従業員の意識です。「物流の現場を人から機械へ」という新しい体制へ、会社が大きく進化する一歩を踏み出せたと感じています。社内最大規模である関東物流センターでの導入は、会社全体の自信となり、「変われるんだ」というチャレンジ精神を芽生えさせてくれました。
7. 現場の声
「『次はどこに導入する?』現場から聞こえる、次なる自動化への期待の声」
導入当初は、物珍しさから二度見する従業員も多くいましたが、今ではすっかり日常業務の一部として浸透しています。現場からは「搬送が自動化されて楽になった。次はどこに導入するのか?」と、次の展開を期待する声(プレッシャー)も聞こえてくるほどです。
8. 実際に使って感じた「Neibo」の良い点
「半年間、故障も事故もゼロ。過酷な環境でも止まらない、驚きの『タフさ』」
安全性と運搬性能の高さはテスト段階で理解していましたが、導入から半年以上経過しても一度も故障がなく、その「タフさ」を実感しています。稼働開始後の数か月間は監視員をつけて運用していましたが、人や棚、荷物にぶつかるような事故は一度もなく、安心して本格運用に移行できました。 夏場には倉庫内が40度近くになる日もありますが、オーバーヒートで停止することもなく、安定して稼働し続けてくれています。また、標準アプリの「フローチャート」機能はとても使いやすいです。
9. 今後の改善への要望
「さらなる効率化向上へ。唯一の要望は『搬送スピード』の向上」
これは以前からお伝えしている要望なのですが、搬送速度ですね。現状の運用でも支障はありませんが、もう少し早いスピードで走行できるようになれば、さらなる生産性向上に繋がると期待しています。
10. 今後の活用計画
「関東の成功モデルを他拠点へ。フォークリフト削減とWMS連携で、さらなる高みへ」
今期はさらに4台を追加導入し、これによりリフト4台の削減を目指します。AMR導入による効率化とリフト作業全体の効率化を組み合わせることで、最終的に合計十数台のリフト削減を目標に活動を進めています。 また、この関東での成功モデルを九州や岡山といった他エリアの拠点へも展開を進めており、現在はWMS(倉庫管理システム)との連携も進めているところです。フォークリフトの維持費と比較しても、Neibo導入には大きなメリットがあると考えています。
株式会社LIXIL物流 関東物流センター様
取材のご協力、誠にありがとうございました。